末期ガン告知のすすめ  最近、我が教会でもガンで亡くなる方が増え、そこで末期ガンの方にどう告知するかが
問題となっています。

 私が知るかぎりにおいて、担当している婦人部長や牧会者が、この告知をびびっている
方が多いのです。
「あと半年ですと言ったら、生きる希望を無くしてがっくりしてすぐ亡くなってしまう
のではないか?」という不安を感じて、この猫に鈴をつける役をやりたがらないのです。

 しかし、少なくとも教会員であるなら、はっきりと告知すべきだと思います。私がガン
患者であるなら、自分の残された人生の期間を、家族も医師も教えてくれないとしたら、
それはひどいと思います。あと半年なら、三ヶ月なら、その間に自分のやらなければなら
ないこと、やりたいことは沢山あります。

 遺影の写真はきちんと撮っておきたいし、意識のはっきりしているうちに今までお世話
になった人に感謝の挨拶をしておきたいし、家族にも言っておきたいこと、残しておきたい
ことは沢山あります。

 聖和された777双の大西邦子さんは、家族には黙って写真館に行き、遺影用の写真を
きちんと撮影して、最後にこの写真を使うように家族に渡しました。

 静岡の方は、生前に皆様への感謝の言葉をテープに吹き込み、聖和式の時に皆さんに聞
いていただいています。

 ちなみに、長いことビデオに携わってきた私は、ビデオで皆さんへの感謝のメッセージを
残し、聖和式で流してもらおうと思っています。

 医師から末期ガンの宣告を受け、夫婦で一晩泣き明かした夫婦がおられます。
もちろん、「なぜ私がガンで死ななければならないのか?」というショックもありますが、
死で消滅するわけではなく、目に見えない世界へ移籍するのであり、残された地上の家族
とも霊的に交流しながら、新しい次元の世界を作りあげていかなければならないのですから、
何も教えないで、ただ時間をすごすのは、とんでもないことだと思います。

 末期ガンは、最後は意識が混乱してきますし、そこで枕元に家族が集まっても、もう
どうにもなりません。今元気で普通に会話できるうちに、どんどん話し込んでおく必要が
あります。

「ローソクをつけてお祈りし、お父さんの名前を呼んだら、そこに来てね」とか家族だけの
約束を作っておいていいと思います。

 地上での夫婦の絆、家族の絆が強かった家庭は、聖和後も、なんらかの思いの交流が
きちんとできています。

 ですから、地上に残された時間は、とても貴重なのです。「絶対生きのびられるから、
頑張れ!」もいいのですが、生命は地上だけではありませんから、永遠の生命の中を生きて
いるという実感で生活していただきたいものです。

 そうであるからこそ、末期ガン告知は、牧会者が厳かに、しっかりとやっていただきたい
のです。これは、牧会者の腕の見せ所なのですから。

 私の場合、家内が倒れた次の日、牧会者が来られて「奥様は亡くなりません。神様の目的
は命を奪うことではありません」と確信を持って言われました。病院からは、もう駄目と言
われていましたから、生き返るとは思いませんでしたが、この牧会者の確信を持った言葉に
はっと目が覚めた思いがしました。子供たちも、生き生きとして希望を持つようになりまし
た。「そうだ、死んだとしても神様のもとに帰るのだから、何も心配しなくていいんだ」と
安心し、我が家はこの言葉に救われたのです。

 牧会者が、永遠の世界にしっかりとした確信を持っていることが、死を目前にした家族に
は大きな大きな救いとなるのです。